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株式会社ミクシィ 古城 秀隆

ミクシィ×機械学習①~機械学習はビジネスの課題を解決するための方法の一つ~

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AI の活用と、AI 人材の活躍を分かりやすく紹介するこのシリーズ。

第三弾の今回はなんと、SNS「mixi」やモンスターストライクでおなじみの株式会社ミクシィの古城 秀隆さんに Zoom にてお話を伺いました!

ミクシィはどこに機械学習を活用しているの?

七戸
本日はご協力いただきありがとうございます!まず、機械学習が御社の事業やサービスでどのように活用されているのか、お聞かせいただきたいです。
古城様
そうですね。まず、弊社の主力事業であるモンスターストライクのようなゲームはログが蓄積されるため、機械学習と相性が良いんですよね。
株式会社ミクシィ モンスターストライク プレイ画面

モンスターストライク

七戸
そうなんですね!具体的には、どのように活用されているのでしょうか?
古城様
成功したもので言うと、ユーザー離脱率の改善ですね。ユーザーの行動などのデータから離脱しそうなユーザーを判別し広告を出稿した結果、ユーザーの離脱率が改善できました。
七戸
わかります!なんとなく開かなくなったゲームも期間限定イベントやコラボをやっている時に再開すると、またハマっちゃいますよね!
古城様
はい。一方で、現在も試行錯誤しながら改善を進めているのは、クエストで使用するモンスターのレコメンドの部分ですね。クエストには 4 体のモンスターで挑戦するんですが、クエストごとにベストなモンスターの組み合わせが変わってくるため、「このクエストにはこのモンスターがおすすめですよ」といったものですね。
七戸
レコメンドはなぜ難しいのでしょうか?
古城様
ユーザーの手持ちも含めた組み合わせの問題になるからですね。他のモンスターとのバランスや順序を手持ちの中からレコメンドするので、その中でどのようにベストな形で機械学習を組み込んでいくのか、そこがまだ難しい部分なので、改善をすすめています。
七戸
なるほど…どんなに完璧な組み合わせを提案しても、持っていないと使えないですしね。
古城様
はい(笑) なので、現状は「このクエストにはこのモンスターを使っている人が多いですよ」みたいな簡単なロジックを採用しています。組み合わせ問題にいかにアプローチしていくかは今後の課題ですね。
株式会社ミクシィ モンスターストライク みんなのクリアモンスター

みんなのクリアモンスター

七戸
ありがとうございます。ゲーム× AI と言えば、「将棋 AI」や「麻雀 AI」といったゲーム AIをイメージする方も多いと思うのですが、御社ではそのようなプロジェクトはありますでしょうか?
古城様
現在は終了してしまっているのですが、「ファイトリーグ」というゲームでは、ユーザーのプレイデータを機械学習して、ユーザーっぽいプレイをする CPU を作成していました。
七戸
ユーザーっぽいプレイをする CPU!その CPU は何に活用されていたのでしょうか?
古城様
リリース前のキャラクターの強さの検証のためのテストプレイですね。
七戸
なるほど!たしかに、全キャラの強さを人力で検証するのは大変ですよね。そんな方法でリリース前に調整が行われているとは…
古城様
他にも、CPU 同士を戦わせて学習させる強化学習でより強いCPUを作ろうとしていました。
七戸
うお~!ゲームの中で機械学習の技術がどのように活用されているかを知ると興奮してきますね!
古城様
ありがとうございます(笑)ゲームに限らず、機械学習の技術は弊社の様々なサービスで活用されています。例えば、家族向け写真・動画共有アプリ 家族アルバム「みてね」の「1秒動画」という機能です。
七戸
アップロードした動画や写真を自動で編集し、30 秒程度の動画にまとめてくれるサービスものですね。
家族向け写真・動画共有アプリ 家族アルバム「みてね」の「1秒動画」

「みてね」の「1秒動画」

古城様
はい。こちらの機能では、ディープラーニングで子どもの画像・映像を認識し、たくさんの思い出の中からより良いメディアが自動で選択されるようにしています。
七戸
(サンプル動画を見ながら)  素敵ですね!私も 2 歳の娘がいるので、とても使いたくなりました!
古城様
是非!画像や動画を自動で編集するサービスは、Google フォトなどにもあると思いますが、「1秒動画」の強みは子どもの顔の検出に特化しており、被写体である子どもが綺麗に写っている写真・動画をより高い精度で検出できる点ですね。
七戸
なるほど!使ってみます!

ミクシィに機械学習エンジニアはいない!?

七戸
このような機械学習のサービスへの導入は、機械学習エンジニアのような専門家の方が行われているのでしょうか?
古城様
いえ。実は、弊社では「○○エンジニア」という肩書は少ないんですよ。勿論、それぞれのエンジニアに得意な領域はあるのですが、得意な領域以外にも幅広いスキルを身に着けてもらっています。
七戸
そうなんですか!?すると、機械学習のサービスへの導入も、各サービスのエンジニアの方が行っているということでしょうか?
古城様
そうですね。弊社では、各サービスに採用する技術選択は事業部毎に自由に行うことができ、ある程度担当エンジニアの裁量に任されていますので。
七戸
これには、どういった背景があるのでしょうか?
古城様
弊社は、家族や友人など、近しい人間関係における豊かなコミュニケーション体験を創出することを目指して、様々なサービスを開発・提供しています。ですので、「モンスト」にしても「みてね」にしても、ユーザー同士が楽しくコミュニケーションをしながら使えることを強く意識しています。
七戸
たしかに、「モンスト」も協力プレイでみんながワイワイ楽しんでいるイメージが強いですね!

株式会社ミクシィ モンスターストライク ストライクショット

株式会社ミクシィ モンスターストライク モンストのマルチプレイ

モンストの協力プレイ

古城様
はい。目的はあくまで“ユーザーのコミュニケーションを豊かにすること”なので、そのために最適な技術を考えて実装するのが弊社のエンジニアの仕事です。
会社として最初から特定の技術を使うよう押し付けたり、特化したりすることはありません。
エンジニア自身もそのサービスを使うユーザーが喜ぶか、楽しいコミュニケーションを実現できるか、他の職種と同様に考えるため、弊社では必要な技術選択も必然的にエンジニアに任されています。
七戸
非常に納得しました!とはいえ、各サービスのエンジニアがいきなり「機械学習を導入しよう」と考えても、簡単ではありませんよね?
古城様
そうですね。弊社内では、エンジニア同士の勉強会も多く実施していますし、何より様々なサービスで既に導入事例もあるので、知見を持っているエンジニアもいます。そうしたエンジニアに直接聞いたりすることも気軽にできるので、新しいことをやる場合でも障壁が低いです。
最近では、Slack で「AI 相談室」というチャンネルを作りました。エンジニアに限らず、そこで気軽に AI や機械学習に関して情報交換や新規サービスでの導入を支援していければと考えています。
そもそもこのような取り組みは、弊社の CTO が「機械学習を特別な技術と捉えず、ビジネスの課題を解決するための方法の一つと捉えるようにしたい」と考えていることも背景にあります。

七戸
素敵な考え方ですね!機械学習は特殊な技術であると漠然と思っていたので、機械学習を通常の技術の1つとして捉えるフラットな考え方は目から鱗でした!最後に、機械学習エンジニアをこれから目指す人へのアドバイスをお願いします。
古城様
そうですね。エンジニアは、サービスを誰かに提供して、改善していく経験をすることがとにかく重要だと思っています。ですので、自分向けでも良いので、何かひとつ機械学習を使ったサービスを作ってみて、どんどん改善してみると良いと思いますよ!
七戸
「機械学習」はあくまで技術で、その技術を使って誰かにサービスや価値を届けられるようになることが本当の目的であるということですね!ありがとうございました!
今回お話を伺った方
株式会社ミクシィ 古城 秀隆
株式会社ミクシィ 古城 秀隆

2007 年 4 月に新卒で入社。ソフトエンジニアとして、SNS「mixi」の機能開発やアプリ運用に携わった後、横断的な技術支援を目的とするたんぽぽグループに所属し、モンストをはじめとするエンタメ事業や新規事業の開発支援を行う。現在は、各サービスの AI や機械学習に関する開発に携わりながら、社内勉強会を開催するなど、会社全体の技術力向上に努めている。